収入の30倍?加熱する中国の住宅バブル

今、中国の不動産市場がアツいのをご存知ですか?

 中国では土地の私有が認められておらず、個人は最大でも70年間に渡って土地を管理することしかできません。しかし、そのような状況にあっても中国では住宅バブルが起きており北京・上海・深圳などの大都市では住宅価格が平均世帯収入の30倍程度にも達している所すらあります。

また、深圳ではここ10年で住宅価格が500%超増になった地域もあるとか。

 これは日本のバブル時代の東京すら超える水準で、中央政府はこの空前の住宅バブルを鎮静させるべく20の銀行に対して新規住宅ローンを停止するよう指示を出すなどしていますが、事態が沈静化するか見通しは不明です。

今回は中国の土地・住宅政策の歴史を見つつ中国の住宅ローンについて迫りたいと思います。

中国の土地・住宅政策の歴史

 鄧小平により改革開放路線が打ち出される以前の計画経済時代には中国では人々に対して「単位」(職場)ごとでの住宅の分配が行われていましたが、1978年に住宅商品改革が始まり「国・地方・企業・個人の積極性を十分に引き出し、個人の住宅建設・購入を認めて住宅を商品化していく」ことが提言されて以降、1998年に土地の管理権や住宅を自由に売買することができるようになりました。

それ以降人々は住宅や土地の管理権を自由に売買し始めましたが、現在勃発している住宅バブルの原因はどこにあるのでしょう?

理由としては、

①2008年のリーマンショックによる金融危機に対応するため、当局が行った銀行への資金貸し出し上限撤廃により金融市場で資金流通が活発化し、余剰資金が不動産市場に流入したこと 

②急速な経済成長に対応し、労働人口を確保すべく政府が行った農村部から都市部への人口移動規制撤廃により都市部で人口が急増し住宅価格が高騰したこと

が挙げられます。

中国政府の対策

 さて、現在の中国では2013年に住宅価格の引き締め政策が実施されて以降、一旦住宅価格がピークを迎えて減少傾向にありましたが、2015年上半期にボトムに達して以降は反動で急上昇し再び高い水準に達しています。それを受けて政府は大手銀行に対して住宅ローン金利の引き上げ、初回購入者への利率引き下げ措置の撤廃などを行い住宅市場の過熱化を抑えようとしていますが中々効果が現れないのが現状です。

中国の人々の住宅ローン事情

 中国では、住宅ローンを完済するまで土地の管理権を取得することができず、そのため銀行側の融資は比較的簡単に行われます。また、ローン借入時の所得の目安として月返済額の倍の月収が必要であるとされますが、国内の企業が行う所得証明は杜撰なものが多く、偽造が横行しているとのこと。実際は偽造されていたとしても管理権は完済まで移譲されないため銀行側もあまりチェックを厳格に行わず、結果として住宅売買が活発化して住宅価格の高騰を招いているようです。

「80后」の結婚事情

 「80后」と呼ばれる一人っ子政策施行後に誕生した世代の結婚需要も住宅市場の加熱を支えています。改革開放経済下での消費文化に慣れ、一人っ子として両親の扶養を一身に受けて育ってきた彼らは、住宅ローンを介して借金をすることに対して親世代よりも抵抗感が少なく、また結婚するには住宅が必要という中国の文化も手伝って、手元のキャッシュは少ないが結婚のためにローンで住宅を用意するという傾向が強いようです。

P2Pレンディングの存在

 P2Pレンディングの住宅ローン参入の動きにも注目しましょう。P2Pレンディングとは、従来銀行や消費者金融などの金貸しを専門とする業者からしかできなかった融資を、インターネット上でお金を貸したい人と借りたい人をマッチングさせることで手続きを簡便化したものです。中国国内ではLufax(陸金所)、Yirendai(宜人貸)などの企業がありますが、それらの合計で13兆円規模の融資残高を保有しています。

中国住宅バブルのこれから

 これらの企業が本格的に住宅ローン市場に参入し、一層住宅ローンを組むことが簡単になれば、今回の住宅バブルは沈静化するどころか一層の激化を見せることになるでしょう。

中国の住宅ローン市場の動向について一層注目したいです。

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