あなたのマンションの修繕積立金、ホントに大丈夫?Tさんが語る「修繕積立金のワナ」とは?

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マンションは購入したら終わりではありません。快適に暮らすためにも、資産価値を維持するためにも、適切に修繕する必要があります。そのためにマンションの所有者は月々の修繕費を積み立てており、それは日々の小さな修繕や、10年から15年に一度行われる大規模修繕の資金となります。

実はこの修繕積立金が、悪徳管理会社に狙われているというのです! それも珍しいケースではなく、住人の知識がないのをよいことに、少なくない管理会社が“濡れ手に粟”状態で利潤を追求しているのだそう。

今回は、実際に修繕積立金のワナに落ちそうになったTさんが、その危険を回避した体験談をお送りします。

購入時には、修繕積立金は潤沢に貯まっていると言われたが……

ご家族と暮らすマンションを2015年に購入したTさん。購入して6月後、初めての理事会に出席したときに5年後の大規模修繕の計画が知らされました。そこでなんと、修繕資金が1000万円も足りないと知らされたのです。

「マンション全体で1000万円、戸数が少ないマンションなので一戸あたり50万円から60万円も資金が足りないのです。驚きましたね。物件購入時に仲介会社に聞いたときには、修繕積立金は足りていると言われましたから。今思えば修繕積立金の貯蓄金額や、理事会の議事録を取り寄せればよかったのですが、仲介会社の言うことを信用してしまいました」

ここでTさんの不動産のスペックを確認しましょう。
立地:田園都市線沿線 徒歩10分
建物:5階建て 19戸
築年数:18年
広さ:60㎡ 
修繕費:11,040円
管理費:16,560円
修繕費と管理費の合計:27,600円

2015年のリクルートの調査によれば、23区内の修繕費の平均は7,850円だそうですからそのマンションの住人は、それまでも平均よりも少し多めの修繕費を積み立てていたことになります。それでも金額が足りなかったわけですが、資金不足に関する管理会社の説明は、Tさんが納得できるものではありませんでした。

「修繕費が1000万円も足りないということは、大きな問題なはずです。それなのに理事会ではきちんとした説明もなく、サッと流されそうになりました。また修繕の経費節減の案を聞いても、『共用部分の電灯をLED電球に変える』といった、焼け石に水の施策しか出てきません。管理会社のスキルに対して疑問を抱きました」(Tさん)

管理会社変更により管理費を下げ、トータルで価格を維持!

もともと、Tさんはマンションの管理会社に満足していませんでした。

「僕は転勤族だったので、5回引っ越しし、さまざまなマンションに住みました。そこで経験してきたなかでも、購入したマンションの管理レベルが低かったのです。例えば自転車やゴミ置場を見ても、管理が雑でした。管理人も定着せず、たびたび人が変わっていました」

普段の管理状況が悪いうえに、大規模修繕の際に平然と大金を求めてくる姿勢に、納得がいかなかったTさん。自らマンションの管理組合の理事長に立候補し、管理会社を変えるために動きだしたのです。Tさんは、さっそく今までの管理会社を含めた3社を呼んで、今後のマンション管理の委託先を決めるための、コンペ(一定の課題を出して、複数の業者に競わせること)をしました。

「それまでの管理会社は、マンションを分譲した会社の子会社でした。新たにコンペに参加した企業は、沿線の電鉄系の管理会社、そして親会社を持たない独立系の管理会社です。この3社でコンペを設定したのですが、マンションの他の住人は“管理会社を変える”という発想がなかったので驚いていましたね。でも他社と比べたことで、いかにそれまでの管理会社がダメだったかということに気づき、管理会社を変えることで意見が一致しました」

結局Tさんのマンションは、親会社を持たない独立系の管理会社へと、管理の委託先を変更しました。この結果、管理費は年間で90万円も安くなったといいます。

「今までの管理会社は保守点検の回数が多く、これが管理費を押し上げていました。でも実際はそんなに頻繁な保守点検の必要はないと思うのです。そこで建築基準法や消防法、水道法、電気事業法などの法律で定められている点検回数におさめました。一方で大規模修繕の資金不足を補うために、修繕費を上げなければなりませんでしたが、管理費を下げることができたので、修繕費と管理費の総額は据え置きになりました」

実際に管理を任せてみると、管理費を抑えられただけではなく、住み心地も改善したのだそう。

「新たに管理を任せることになった独立系の管理会社は、マンション管理会社受託戸数ランキングで1位の会社です(2017年調べ)。対して以前の管理会社は15位。それだけに実力の差がありました。今は掃除も行き届いていますし、管理人がコロコロ変わることもありません」

大規模修繕の期間を伸ばして、14年ごとに変更

Tさんは管理会社を変更すると同時に、大規模修繕の不足金額1000万円を貯めるために、10年ごとだった大規模修繕を14年ごとに変更しました。

「多くのマンションで大規模修繕が10年ごとに実施されていますが、実は法的な縛りはないのです。ですから、僕たちのマンションでは修繕期間を14年ごとに変更しました。管理会社変更と、大規模修繕サイクルの見直しという2つの方法によって、今後35年の修繕の見通しがたったのです。しかも追加資金を払うことなしに、です」

建築基準法では、竣工後、もしくは外壁改修後10年経過後の、外壁全面打診(外壁が落ちてくるなどのリスクがないか確認する検査)が義務付けられています。しかし大規模修繕に関しては、10年ごとに行うという決まりはありません。建築業を営む専門家からも「10年ごとの大規模修繕は頻繁すぎる」という意見があるくらいです。

「建物の劣化について、素人はよくわかりませんよね。だから管理会社に言われるままに、お金を出してしまうのです。でももしも何かがおかしいと感じたら、一度立ち止まって、管理会社に提案されることが本当に必要なのか、考えてみてはどうでしょう。自分ではよく分からなければ、専門家にアドバイスを求めてもよいでしょう」

自分の住むマンションについて思考停止になると、悪徳業者に付け込まれる隙を与えることになります。所有の不動産を適切に維持管理することは大前提ですが、住まいのケアは長きにわたって続くもの。金銭的に無理のないプランを立てたいものです。

あなたのマンションの修繕積立金は、大丈夫ですか? 

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