医療費控除の確定申告が領収書不要に。変更点や明細書の記入方法を解説

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確定申告の時期、よく耳にするのが「医療費控除」という言葉。特に大きな病気をした人や、病院に行く機会の多い子どもがいる人は気になりますよね。

「医療費控除」とはその名の通り、かかった医療費の一部を支払うべき税金から控除してもらえる、つまりお金が戻ってくる制度のこと。医療費が10万円を超えた場合、決まったルールに従って計算した金額が戻ってきます。

医療費控除を受けるには、確定申告が必要。しかし、明細や領収書が必要と言われたり、保管しておかなくてはならないと耳にしたりと、情報がうまく整理できていない人も多いのではないでしょうか。

今回は、確定申告で医療費控除を受けるためのポイントと変更点についてご紹介します。

平成29年分から医療費控除の確定申告が変更に

平成29年分、つまり平成30年2月16日~3月15日に確定申告する分の医療費控除についてはいくつか変更点があります。まずはその変更点についてしっかりと確認していきましょう。

変更点は次の3つです。
1.「医療費の領収書」の提出又は提示が不要になった
2.「医療費控除の明細書」の提出が必要になった
3.セルフメディケーション税制が創設されたこと

これまで必要とされてきた「医療費の領収書」が提出不要になり、代わりに「医療費控除の明細書」が必要となりました。

これまでも明細書を提出する必要がありましたが、内容と意味合いが若干変わります。これまでは領収書がメインで、明細書はあくまでサブ的なポジションでしたが、今回の変更により、明細書がメインとなります。

今回の変更によって、どのようなメリットがあるのでしょうか。

その1:「医療費の領収書」の提出が不要に

これまでは医療費の領収書を確定申告時に提出する必要がありました。実際に申告する際にはすべての領収書を保管しておき、キレイにまとめて添付する作業が意外と大変だったと感じている人もいることでしょう。

しかし、今回「医療費の領収書」の提出が不要となったことでこの面倒な作業が簡略化されます。一つずつ手作業で集計したり、まとめたり、添付したりする作業が不要になるので、確かにその分ラクにはなります。

しかし、領収書を処分することのないよう注意してください。これらの領収書は税務署から提出もしくは提示を求められることがあります。その際に提出もしくは提示する必要があるので「5年間保管しておくこと」が必須となるのです。領収書を提出しなくていいからといって、紛失することのないように注意してくださいね。

その2:「医療費通知書(医療費のお知らせ)」の添付が認められることに

また、健康保険組合などから送られてくる「医療費のお知らせ」「医療費通知書」を申告の書類として使えるようになるのも大きなメリットです。

これまでは「医療費通知書(医療費のお知らせ)」を領収書代わりに使用することは認められておらず、正式な書類として提出することができませんでした。しかし、この「医療費通知書(医療費のお知らせ)」に記載されている事項に関しては、明細を書く必要がなく、添付するだけで記入を省略することができるのです。「医療費通知書(医療費のお知らせ)」を紛失してしまった部分のみ、明細書に記入すればよいということになり、かなり手間が省けることになります。

その3:セルフメディケーション税制が創設

さらに、セルフメディケーション税制が創設されたことで、、病気の予防や健康の増進に取り組むために特定一般用医薬品を購入した場合にも医療費控除の特例を受けることができるようになりました。市販されている「特定一般用医薬品」を、年間12,000円を超えて購入した人が対象となります。

ここでいう「特定一般用医薬品」とは、スイッチOTC医薬品のことを指しており、スイッチOTC医薬品とは、医療用からドラッグストアで購入できるように転用された、特定の成分を含む医薬品のことを言います。風邪薬をはじめ、水虫の薬やビタミン剤も対象に含まれており、対象商品の多くに識別用のマークがつくようになりました。

ただし、この「セルフメディケーション税制」はあくまで医療費控除の特例という位置づけのため、従来の医療費控除と併用はできません。「10万円を超えた医療費の所得控除を受ける」という従来の医療費控除を受けるか、「セルフメディケーション税制」で所得控除を受けるか、どちらか一方を選択することになります。

「医療費控除に関する明細書」の記入方法

それでは、医療費控除を受けるための「医療費控除に関する明細書」の記入方法についてみていきましょう。
「医療費控除に関する明細書」は国税庁ホームページからダウンロードできます。

医療費通知に関する事項

ここは、前述した「医療費通知書(医療費のお知らせ)」を添付する場合に記入します。「医療費通知書(医療費のお知らせ)」を見ながら1つずつ埋めていきましょう。

(1)医療費通知に記載された医療費の額

「医療通知書(医療費のお知らせ)」に記載された自己負担額の合計金額を記入します。複数の通知書がある場合には、すべて合算した金額を記入していきます。

(2)1のうちその年中に実際に支払った医療費の額

自己負担額の合計金額の中で、申告する年に払った医療費の合計金額を記入します。実際には領収書などを見ながら記入する必要があるので、明細の記入は不要とは言えどもやはり領収書は必要ですね。

(3)2のうち生命保険や社会保険などで補填(ほてん)される金額

上記の中で、生命保険や給付金などを受け取って補填した金額があればそれを記入します。

「医療通知書(医療費のお知らせ)」(原本)は確定申告時に、医療費控除の明細書に添付して提出する必要があります。健康保険組合では再発行しない組合もあるので、提出するまで大事に保管しておいてください。

医療費の明細

申告する年に自分と生計を一にする家族が支払った医療費について、領収書を見ながら明細を記入していきます。

このとき、医療を受けた人の氏名、病院・薬局などの支払先の名称、医療費の区分(診療・治療 介護保険サービス、医薬品購入、その他の医療費)、支払った医療費の額、支払った医療費のうち生命保険や社会保険などで補塡される金額の記入が必要です。

同時に、医療を受けるためにかかった交通費についてもここに記入します。乗り継ぎがある場合はまとめて記入しても構いません。この場合、医療費の区分は「その他の医療費」にチェックします。

控除額の計算

ここは、電卓を使いながら慎重に記入していきましょう。

A「医療費の合計」は、冒頭の「1.医療費通知に関する事項」に記載した「(1)医療費通知に記載された医療費の額」+「医療費の明細」で記入した「(4)支払った医療費の額」の合計を記入します。

Bも同様に、「1.医療費通知に関する事項」に記載した「(3)2のうち生命保険や社会保険などで補填(ほてん)される金額」+「医療費の明細」で記入した「支払った医療費のうち生命保険や社会保険などで補塡される金額」の合計を記入します。

Cには、上記AーBの金額を記入しますが、赤字になった際には0円と記入してください。

Dは確定申告書の申告書第一表を見ながら記入していきます。確定申告書の記入が済んでいない人は、そちらから先に記入したほうがいいかもしれません。

Eは上記の金額に0.05を掛けるだけです。赤字の場合は0円と記入します。

Fには、控除の基準となる10万円と上記Eで求めた金額のいずれか少ない金額を記入します。

Gで、上記C-Fの金額を求め、申告書第一表に転記します。

これで医療費控除の明細書の記入が完了となります。不明点があれば税務署に問い合わせるとよいでしょう。ただし、確定申告の期間中は混み合いますので、早めに準備をして確定申告期間が始まる前に問い合わせることをおすすめします。

領収書はどうすれば良いの?

さて、手元にはこれまで大事に保管してきた領収書が残るはずですが、これはどうしたらいいでしょうか。

5年間保管が義務

先述の通り、領収書は原則5年間保管する必要があります。申告期限(3月15日)から5年間は、税務署から問い合わせがあったら提出もしくは提示しなければなりませんので、なくさないように大事に保管しておきましょう。

コピーは代用不可

領収書は必ず原本で保管しておきましょう。コピーでは認めてもらえません。また、同じく「医療費通知(医療費のお知らせ)」も原本の提出が義務付けられています。原本を提出するようにしましょう。

平成31年まで経過措置あり

新しい医療費控除の確定申告手順についてご紹介してきましたが、、これまでの申告方法に慣れているから、やり方をあまり変えたくないという人もいるかもしれませんね。確かに、従来とは若干変更があるため、慣れていない人は不自由に感じるかもしれません。そういう人のために、平成31年までは経過措置があります。

平成31年までは領収書での提出も可

平成29年分から平成31年分の確定申告については、「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付せず、「医療費の領収書」を確定申告書に添付して提出または提示してもよいこととなっています。
ただこれはあくまで平成31年分までの経過措置なので、新しい申告方法も覚えていきましょう。

まとめ

確定申告は複雑に見えますが、一つずつ丁寧に手順を確かめれば意外とそれほど難しいものではありません。医療費控除も、特例としてセルフメディケーション税制を創設するなど最近では非常に身近な存在となってきました。少し面倒に感じるかもしれませんが、手間をかけた分お得になることもあるのです。医療費領収書と医療費通知書を保管し、確定申告で医療費控除を受けるようにしましょう。

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